考古学者たちは、
古代文明の秘宝を続々と発掘しています。
政府の遺跡物担当長官である博士は、
ある農村で、
歴史的に大変価値のある木で作られた壷を15個も発掘しました。
五、六世紀頃から何百年もの間、
肥沃な土の中に眠っていたと思われる壷で、
いきなり空気に触れさせると木の成分が変質してしまう恐れがあるため、
今は大切に保管されています。
また、
大学の教授も、
厳かな聖堂や壮麗な宮殿、
今でも使える下水道を完備した住宅などの、
三五〇〇年前の文明期にさかのぼる建造物を発見しました。
このように、
古代文明の貴重な遺跡は、
何千年も経った今でもどんどん発掘され、
脚光を浴びています。
ここで一つの考え方。
例えばですが、
私たち一人ひとりがクリエイティブな考古学者となり、
自分自身を掘り起こしてみるというのはどうでしょう。
何の道具もいりません。
ただ、
毎日仕事の後にほっと一息ついたところで、
ほんの五分間、
自分自身に意識を集中させるのです。
意識を集中させるという作業も、
他の行動と同じように始まりがあり、
中間があり、
終わりがあります。
遺跡の発掘作業と同様に、
最初は浅いところから始めて、
だんだんと深く掘り下げていくのです。
一度にひとつずつ、
落ち着いてゆっくりと、
論理的に自分自身を見つめていくと、
自分は決して失敗や挫折にまみれた人間などではないということに、
たくさんの貴重な宝を内に秘めている人間だということに、
必ず気づくはずです。
昔の失敗の残がいに目を奪われたりしないで、
もっと深く自分自身を理解することができれば、
過ぎ去った文明の埋もれた宝などよりも、
ずっとずっと大切で貴重な財産を、
自分の内側にたくさん見いだすことができるはずです。
自分の内側の貴重な財産とは、
自分を大切にする気持ち、
それは取りも直さず他人を大切にする気持ちでもあります。
そして、
自分への理解と自信と勇気。
それは同時に他人への理解と信頼にもつながります。
こうした計り知れない財産が、
間違いなく自分の内側に埋まっています。
この財産を発掘することで、
人生に喜びと幸せをもたらすことができます。