心理学上には、
「他者報酬追求型」
「自己報酬追求型」
と言う言葉があります。
他者報酬追求型と言うのは、
本来の自分の生き方を抑えて、
周囲に認められようとすることを言います。
そして、
自己報酬追求型とは、
本来の自分を愉しむことを追い求めることを言います。
例えば、
私が恋人の誕生日にプレゼントを贈ったとします。
そのとき、
自分がプレゼントを「した」という事実だけで満足できるのが、
自己報酬追求型になります。
いっぽう、
他者報酬追求型は、
恋人が、
私の贈ったプレゼントについてどう思ったか、
気に入ったかどうか、
さらにプレゼントしたことで
私のことをさらに好きになったかどうかまで
確認しないと気がすまない、
と言うパターンです。
自分がプレゼントをし、
相手がそれを受け取ったという事実だけで満足できるなら、
ストレスは発生しません。
ところが、
他者報酬追求型の場合、
恋人にもしプレゼントを気に入ってもらえなかったときや、
思惑どおり自分への好意を強く感じることができなかったときには、
大きなストレスを溜め込むことになります。
うつ病になりやすいタイプに
「きまじめ」
「完全主義」
「誠実」
などを特徴とする
「執着気質」
が挙げられます。
「いい加減」の対極ですね。
プレゼントを贈るなら、
恋人が気に入って、
しかも自分がさらに好かれなければ意味はない、
と思うわけです。
真剣にそう考え、
恋人の好みを必死にイメージしながら、
ああでもない、こうでもないと
きまじめにショーウィンドーを見て回るのです。
ところが、
世の中はそうそう自分の期待どおりの反応を返してくれるわけではありませんよね。
「自分がこれだけ真剣にやっているのに、
どうしてわかってくれないんだ」
「何事も一所懸命やれば通じるのが、
この世の道理というものではないのか」
などと不満を溜め込むことになるわけですね。
ますます
「理解してほしい」
「尊重してほしい」
「受け入れてほしい」と、
周囲に自分の存在を認めさせることに懸命となり、
その願いがかなわないことのギャップに苦しむことになるのです。
つまり、
他者報酬追求型は、
相手からの評価に依存する心が強すぎることが問題となります。
相手がどうあれ、
自分が満足できればそれでよいのであれば、
ギャップは発生しません。
ただし、
ここはとても大きな注意が必要です。
それはいわゆる
「自己チュー」
とは違うと言うことです。
自己チューは、
周囲から受け入れられないという
「愛情危機感」
がベースにあると言われています。
対人依存心が強いのですね。
自己報酬追求型の人は、
ほかに誰もいない山の中でも一人で暮らしていくことができるが、
自己チューはおそらく無理だろう、
と言うのが分かりやすい見分け方と言われています。
他者報酬追求型は、
周囲に人がいないとやっていけない。
自己チューはその一類型と言えるのです。
ここは十分に気を付けないといけません。